ラアルプの少女廃人

某日吉大学2年生ミュージカルオタクが観に行った作品の感想を書きなぐる。バイトは週4~5日、観劇は月2回くらい。週4で授業。劇団四季、東宝系が多いです。語彙力と財力が低めです。ピューロ年パ持ち。アルプスの少女ハイジの塾でバイトしてます。

【ネタバレ注意】4/25S りさ子のガチ恋♥️俳優沼

生きている人間のオタクをやってる人なら誰もが心に秘めている欲望と狂気、思わずりさ子に共感してしまう自分への恐怖……

めちゃめちゃ怖かったです、明日は我が身という感じ

すべてのオタクに観てほしい作品です

知っている、観たことあるキャストさんもいないので完全予習なしで初見でした!


場所は新宿シアターモリエール
入り口から劇場扉までところ狭しとお花が!実際にこの作品に出ている俳優のオタクもいるんだろうなあ。そういう意味で観劇前から生々しいです。

まさかの松澤くれはさん(作者)が自ら物販スタッフをされてましたwwびっくりww


それでは本編レッツゴー!

冒頭は舞台『政権☆伝説』のカテコという設定
伊藤博文山県有朋原敬などの歴代総理大臣をイケメンキャラ化したゲームの舞台版。略称は『伝ステ』wwありそう~~~ww

りさ子は原敬役の翔太くんのオタクです。ふつうのOLですが節約生活でオタク資金をつくっているいわゆる推しのATMです。
Twitterで知り合った翔太オタ仲間のたま、アリスと一緒に舞台を観に来ていました。三人の中でもりさ子の貢ぎレベルは格別のようです。

開演前、ロリータファッションで笑い声がデカいお客さんが左の前の方の列に座ってきて、冒頭シーンで翔太がしゃべる度に騒いでうるさいなあ!と思っていたらそれがアリス!隣に座っていたのがりさ子とたまでした!!なんて引き込まれる演出!!!オタク目線!!!

認知されてるのかも!目線多くくれてる気がする!って、思いたいんですよね~~~


SNSの投稿ややりとりの演出がおもしろかった~!表向きのいいね👍と本音……まさにSNSの仮面です

写真を拡大して見るところもストップモーションをつかって上手く表現してました

本番後にファンからの差し入れをあさる俳優たち。手作りお菓子は得体が知れないので廃棄。手描きの色紙も「はずれ」。スタバカードは「あたり」…
わたしたちファンからすれば「捨てるなんてひどい!」と思ってしまいますが、たしかに、俳優も人です
プレゼントはあげることに意味がある。食べるところまでは含まれていない……たしかに……
◯◯くんを応援して差し入れしている自分、が好きで自己満足なのかもしれない…我が身を省みる…

伝ステの千秋楽後、打ち上げまでの間にリプ返祭りをする翔太くん、「彼女はいますか?」に対して「いません」と答えます。
しかし実は、伝ステの前作で共演した女優の篠戸るると付き合って同棲しています!

このるる役の方のお芝居が見事!!
かわいい彼女♥️な一面と本音で毒をはく一面と……素晴らしいです
翔太くんとラブラブなシーンは観てて恥ずかしくなるほど翔太くんがイケメンです…彼女だけに見せる顔~~~ッ!!!!!

しかしるるは翔太のキャップやパーカー、同じカーテンをうつりこませた写真をSNSにアップしています。いわゆる匂わせというやつ!

いわゆる裏垢でつぶやかれるヘイトは勢いを増します。

翔太のファンもざわざわ……



この舞台、オタクの生態をリアルにとらえているなあと!チケ、イベ代のために食費やオシャレもきりつめる、でも接触イベントのときはとびきりにおしゃれして、、、
当落発表のドキドキも!!


あとはDVDの鑑賞会!!ファン仲間と「ここがいいよね~」と言いながら伝ステのDVDを観ます。
一時停止されたのを変顔ストップモーションで表現していたのがおもしろかったです。


りさ子のオタク業に理解がない同僚にランチに連れていかれるりさ子
オーガニックとかおしゃれな食べ物や用語も全然わかりません

ここでバンギャルの同僚がバンドマンと関係を持っていたということが暴露されます!

りさ子も好きな人に思いを伝えなよ、認知されてるんでしょ、こんなに愛して貢いでるのに見返りが何もないなんて、このまま見てるだけでいいの?特別な関係になりたくない?
同僚の何気ない言葉にりさ子の願望がふつふつと溢れます……



翔太くんのバースデーイベント、いつもよりしっかり化粧をして、いつも着ないような薄紫のドレス、プレゼントも用意して…
「可愛い」と翔太くんが思ってくれるかな?と期待して…

ところが翔太の口から出たのは「はじめまして」という言葉。
イメチェンしたりさ子のことを気づかなかったのでしょう…


目の前が真っ暗になるりさ子。ここで彼女のスイッチが入ります。







翔太とるるへの誹謗中傷は勢いを増します。
そんな中始まった伝ステ次回作の稽古。今回伊藤博文役で参加しているのはけんごさんという翔太たちよりも一回り年上のベテラン俳優。2年間の休養を経ての復帰作です。けんごさんが役者を退いたのには深い訳があります……

心を悩ませ稽古に身が入らない翔太。他の出演者よりも先に稽古場を後にします。
翔太以外の俳優たちが稽古場で酒を飲みかわす中、けんごさんが2年前の真実を語りだします。

ファンとの距離が近かったけんごさん。あるとき女優との熱愛疑惑が出ます。その女優とは何もなかったが、妄想オタクが「自分と付き合っていたのに裏切られた」とありもしないことをネットで発言し出した。あれよあれよという間に二股男に仕立て上げられました。
さらにそれだけではなく、常に誰かにつきまとわれている、誰かに見られていると感じることが毎日のようになります。耐えきれなくなったけんごさんは芸能界を引退しました。

そんな俳優に嫌われるようなことをする過激ファンの心理がわからないという若手俳優たちに、けんごさんは
「彼女は知ってほしかっただけなんだ」と。
自分はその気持ちに向き合えなかったと。


この独白シーン、かなり衝撃でした。素人並の感想ですが、こんなこともあるのだなあと……
俳優だけでなくアスリートなどにも一定数いる、好きすぎてアンチのようになっている人たち。自分の愛を、知ってほしい。それが叶わないから、憎んでしまう。
実際にはないことでも、ネット上の情報は瞬く間に拡散されるし、世間は面白い方へと話を広げたがる。
わたしたちがいままで見てきた俳優のスキャンダルも、もしかしたらこんなものがあったのかもしれません。



暴走するりさ子、篠戸るるに迷惑電話をかけたり家に直接差し入れを置きに行ったりします。翔太と付き合っているような嘘の妄想ブログを「白子」という名前で書き始めます。ブログのしめくくりは「抱きしめてくれる太陽」
すっかり疲弊している翔太とるる。
警察も当てになりません。

ついに事態を終わらせるために動き出するる。
翔太のファンレターの中からブログの文体と似たものを発見します。(ファンレターとっといてる翔太くん推せる!)
RISAKO SIRAKO

翔太の上裸チェキ写真を撮ります。ここで笑顔をつくるよう言われてイケメンスマイルを見せる翔太くんがかわいいです(見所)
Twitterのアカウントをつくり、瀬川翔太に裏切られ、熱が冷めたのでサイン入りチェキを譲渡しますと……

ここでどれがりさ子のアカウントなのか様子を伺う演出もおもしろいです。

まんまと食いついたりさ子。郵送のため住所を教えてしまいます。




りさ子の家に押しかけ謝罪を強要する るる。語気も荒いしかなり怖いのですが、この作品においてるるは主人公の敵ではあるけれど、悪役ではないっていうのがおもしろいです。いち芸能人として本心を代弁してくれる存在というか……

ネットとはうってかわってボソボソと喋るりさ子。オタク特有のやつ、ネット弁慶
りさ子に謝らせることに成功しますが、そこで気を許したるるはりさ子に監禁されてしまいます。


翔太くんが助けに来ます。片手に包丁を持ったりさ子。
このシーン、圧巻です。
オタク特有の早口で興奮しながらるるへの憎しみと「彼女はいない」と嘘をついていたことへの怒りと翔太への愛と自分の正当化の言葉を並べ立てるりさ子

とにかくこのシーンの、りさ子の言葉を聞いてほしい。りさ子と翔太とるるのやりとりを聴いてほしい。

ぜひ小説版を読んでみてください……かなりセリフ同じなので


ほんとに小説版を読んでほしいので、結末は書きません。恐ろしいほどにわたしたちのファン心理がよく表現されています。


カーテンコールのあとにも観に来た「オタク」たちの心を物語から離さない演出があります!




小説版をぜひ……(3回目)






友達にすすめられたのですが本当に観てよかったです……

次回の観劇予定は『レ・ミゼラブル』です!